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学校案内

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校長から

 
  広島県立呉三津田高等学校長 
          小路口 真理美 

変えられるものと変えてはならぬもの

 
 呉三津田高校は、明治40年4月、呉中学校(通称呉一中)として開学して以来1世紀余り、激動の歴史を生き抜いてきた伝統校である。我が母校でもある、この伝統校に校長を拝命した時以来、胸に刻み続けている言葉があります。

  変えられないものを受け容れる心の静けさと
  変えられるものを変える勇気と
  その両者を見分ける英知を与えたまえ。    ラインホールド・ニーバー

 かつての学生は、丘に聳えた一本松を仰ぎ見て、ある時は己を律し、ある時は励ましつつ「人知らずして慍(うら)みず」(『論語』学而篇)虚飾を捨てて、質実剛健を生きる、つまり、世に阿ることなく、真正の生き方の模索を続け、行動してきました。 その強い意志は、不易のものとして、継承しなければならないものと考えます。
 一方で、時代は変わります。人口は著しく減少し、一握りのリーダーが、大勢を引っ張っていく時代はもう終わりました。 さすれば、生徒一人ひとりを、自ら思考し、判断できる、自立的・自律的な主体に育てなければなりません。
 このグローバル化・情報化が急速に進む社会では、既存の枠組みなどあてにならなりません。従って、積み上げてゴールを目指すキャリア教育はもう古い。 新学習指導要領を待つまでもなく、社会に開かれたカリキュラムの開発が急務です。生徒が、当事者意識を持って社会と向き合い、自ら課題を発見し、主体的に探究する中で、進路目標を見直したり、新たに自らの将来を見出したりできる機会の構築を試みなければなりません。
 本校では、総合的な学習の時間(2学年)に「社会探究プロジェクト学習」を位置づけ、所謂地域研究を行い、3年目を迎えます。 この課題発見解決学習によって、見出した地域創生策について、生徒達は、自分たちのアイデアの実現性に対する客観的な検証を求めて、熱心にフィールドワークをし、大人に意見を求め、明確な根拠を形作ってきました。 このように、社会に開かれたカリキュラムは、学校だけで作成できるものではなく、学校と社会をネットワークでつなぐ社会の学校化、学校の社会化を進めることが未来を拓くのです。

 また、幸いなことに、ここで関わってくださった行政、同窓生を中心とした地域、大学関係者などは、皆、呉三津田応援団になってくださり、チーム呉三津田を結成しています。そして、すっかりおなじみになった、本校の目指す姿のブランド化である「伝統と革新を支える強い意志(玄)を有し、世界を志向(青)し、三津田が丘の青春によって強烈な個性(朱)を育み、そして未来(白)を創る世界市民の育成」を、 教職員・生徒・保護者・チーム三津田全員が異口同音に語り、誇りを醸成しつつ、学校を創ることの喜びを共有しています
 不易の中の流行、「変えられるものを変える勇気」は、まさに、後生畏るべし、生徒が無自覚ながらも、それを発揮したことで、私たち大人に伝播したと言えましょう。
 そこで、気づいたのは、高校生は、決して「今さえ良ければよい」という刹那的な価値観を持って、変化にただ流されるのではないということです。「自らの力で、世の中を1ミリでも変えたい!」という熱い心を持ち、グローバル化・情報化を、むしろ追い風にして飛翔しようとしています。
 このような変化に基づき、広島県教育委員会も、従来の知識ベースの受動的な学びから、習得した知識を活用し、体験に基づく課題解決学習重視への転換を目標に「学びの変革アクション・プラン」を策定しました。呉三津田高校でも、生徒・教職員は、不安を凌駕し、かつてのスタイルを打ち破る挑戦を続けています。それは、尊い行為です。
 だから、私は、教職員・生徒そしてチーム呉三津田を信じて「挑戦なくして成長なし。やってみなはれ。しんがりは私が務める」と腹を括っています。私のような非力な者でもしんがりがいれば、必ずや前に進めるはずですから。
 変えられないものと変えられるもの、その両者を見分ける英知は、私一人に与えられるものではありません。チームとして、その組織を愛し、生徒と大人たちとが響き合う時、伝統校は、しなやかに、そして、したたかに、時を超えるのです。
 今後とも御指導・御鞭撻の程、よろしくお願いします。

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